修行

雨が降ると、フィールドは一気に表情を変える。

流入、風、雨粒。その全てが重なって、水が動き出す。自分はこの「水が動く瞬間」を見るために、あえて雨の日に釣りに出ることが多い。

水が動けば、魚も動く。

それは感覚論じゃなく、魚探を見ていればはっきり分かる。ベイトが浮き、沈み、散る。今まで無反応だった地形に一瞬だけ生命感が入る。そんな変化は、晴れた穏やかな日よりも、雨の日の方が何倍も強く出る。

だからこそ、ハイテクの練習になる。

画面に映る情報と、実際に起きている水の動き、そして自分の立ち位置。その三つを一致させられるかどうか。雨の日は誤魔化しが効かない。ズレていれば何も起きないし、合えば一瞬で答えが出る。

楽な釣りじゃない。むしろ修行だ。

体は濡れ、集中力も削られる。それでもボートを出すのは、試合やガイドで「今日しかない一瞬」を逃さないため。水が動くからこそ、魚の本音が見える。その瞬間を理解できるかどうかで、釣りの精度は大きく変わる。

雨の日に積み重ねた経験は、必ず武器になる。

水が動いた時、迷わず判断できる自分でいるために、今日も修行は続く。

ヤバ

細い所、本当に助かる。

こういう部分を見てくれているかどうかで、準備の質も、試合への向き合い方も大きく変わる。

写真のこれは、正直に言って熟成し過ぎて恐ろしいレベル。

長い時間をかけて、ボックスの中で積み重なってきたもの。

見た目だけなら「もう終わってる」と言われても仕方ない状態だと思う。

でも、ここまでになるまで使われ続けた背景がある。

投げて、外して、入れ替えて、また投げて。

その繰り返しの中で、自然と残った痕跡みたいなもの。

ただ、試合の世界では感情だけでは通用しない。

どれだけ思い入れがあっても、

今の状況に合っているか、信頼できるかを冷静に見極める必要がある。

使い込み過ぎたものは武器にもなるし、足を引っ張る存在にもなる。

だからこそ、細かい所を整え、助けてもらえる環境がありがたい。

命懸けで戦っている以上、

応援してくれる人や支えてくれる存在に対して、

「まあいいか」は絶対に許されない。

恐ろしさを感じるほど使い込まれたこの状態を見て、

改めて気が引き締まった。

まだやれる。

まだ詰められる。

そう思わせてくれる準備こそが、次につながる。

バス用で 今までなかった「3lb以下」という選択肢

今回紹介するのは、H.D.カーボン EX BASS の

1.5lb/2lb/2.5lbという、今までありそうでなかったラインナップ。

正直、3lb以下のフロロは「弱い」「切れる」というイメージを持っている人も多いと思います。実際、過去の細号数ラインはトラブルが多く、信頼しきれないものもありました。

でも、このEXはそのイメージをいい意味で裏切ってきます。

まず感じるのはタフさ。

細いのに安心して使える。ライトリグで一番怖い「不意の突っ込み」や「カバーに触れた瞬間」にも、ラインが粘ってくれる感覚があります。

ただ強いだけでなく、伸びと復元力のバランスが非常に良い。

次に感度。

ラインが細くなることで、水中の情報量が明らかに増えます。

軽いシンカー、違和感レベルのバイト、ボトムの質感。

スピニングでの釣りが一段階シビアになる分、釣りの精度が確実に上がります。

特にプレッシャーの高いフィールドや、冬〜プリスポーンの喰い渋り時。

「太くしたくない、でも切りたくない」

そんな場面で、この3lb以下という選択肢は大きな武器になります。

細さは不安材料ではなく、攻めるための武器。

ライトリグを本気で突き詰めたい人にこそ、使ってほしいラインです。

来年も、最高峰の舞台で戦う理由

来年も、最高峰カテゴリーで戦う。

それは簡単な決断じゃないし、惰性で続けられる世界でもない。

バスフィッシングトーナメントは、外から見れば「好きな釣りを仕事にしている」「楽しそうな世界」に見えるかもしれない。でも実際は、結果がすべての世界で、常に自分の価値を問われ続ける場所だ。成績が出なければ評価は下がり、存在意義すら疑われる。そんな厳しい舞台に、16年連続で立ち続けてきた。

正直に言えば、命懸け――

そう言っても大げさじゃない。

体調管理、資金面、家族のこと、将来への不安。

レース前夜に眠れない日も何度もあったし、「もう限界かもしれない」と思ったことも一度や二度じゃない。それでもボートに立ち、キャストを続けてきたのは、この世界に人生を懸けているからだ。

自分は天才でもスターでもない。

ただ、人一倍この競技に真剣で、誰よりもフィールドと魚に向き合ってきた自負はある。一匹のバスに対して手を抜かないこと。魚を守り、フィールドを守り、釣りの価値を下げないこと。それがプロとしての最低限の責任だと思っている。

そして、この挑戦は決して一人では成り立たない。

共に戦ってくれるスポンサーの存在があってこそ、今の自分がある。

結果で応えること。

フィールドでの姿勢で応えること。

言葉ではなく、行動で信頼に応えること。

それが、協力してくれているスポンサーに対する自分なりの誠意であり、覚悟だ。軽い気持ちでロゴを背負っているつもりは一切ない。人生を懸けているからこそ、スポンサーに対しても本気で向き合っている。

来年も最高峰の舞台で戦う。

それは挑戦であり、証明であり、自分自身との勝負だ。

まだ終われない。

まだ、見せたい釣りがある。

応援してくれる人、支えてくれる人、そのすべてに結果で応えるために――

市村修平は、来年も命懸けでキャストし続ける。

気になった組み合わせ

ジミーヘンジ × ビーク。この組み合わせが強い理由

ここ最近、改めて「やっぱり強いな」と実感している組み合わせがある。

それが ジミーヘンジにビークをセットしたセッティング。

派手さはないけど、バスにとっては明らかに“口を使いやすい”。

特にプレッシャーの掛かったフィールドや、雨後・濁り始めのタイミングでは反応が分かりやすい。

この日も足元はしっとり濡れていて、落ち葉と泥が混ざるコンディション。

活性が高いというより、「ちゃんと見せて、ちゃんと入れる」釣りがハマりそうな状況だった。

そこで選んだのが、ジミーヘンジ+ビーク。

フォールでのシルエット、着底後の存在感、少し動かした時の水押し。

どれを取ってもバスが違和感なく近づいてくる。

数投目、ラインがスッと走る。

大きく合わせる必要もなく、ロッドに重みが乗った瞬間にフッキング。

上がってきたのは、口の奥までしっかり食っているバスだった。

やっぱりこの組み合わせ、良く釣れる。

釣れたバスに違和感。口元をよく見ると…

ただ、このバスをよく見ると違和感があった。

口元に 細いラインが絡まっている。

よく見ると、過去に切られたであろうラインがエラ付近から口の中に回り込み、

ルアーの残骸らしきものも一部引っ掛かっている状態だった。

正直、胸が痛くなった。

釣りをしていれば、ラインブレイクは誰にでも起こる。

それ自体を責めるつもりはない。

でも、こうやって絡まったまま泳いでいるバスを見ると、

「ちゃんと外してあげたい」という気持ちが強くなる。

落ち着いて、時間をかけて、

ライン・異物をすべて除去。

無理に引っ張らず、魚体を濡らしたまま、

少しずつ、確実に。

外し終わったバスは、口の動きもスムーズになり、

しっかりとした力で暴れ始めた。

その姿を見て、少しホッとした。

釣るだけじゃなく、守る釣りを

自分はバスプロとして釣りをしているけど、

「釣ること」だけが全てだとは思っていない。

バスが元気でいるからこそ、また釣りができる。

次の誰かが楽しめる。

今回の一本も、

ジミーヘンジとビークの強さを再確認できた一本であり、

同時に 魚を大事にする釣り を改めて考えさせられた一本だった。

フックやライン、タックルを信頼できるものにする。

無理なファイトをしない。

そして、もし異変に気づいたら、できる範囲で手を尽くす。

それも、バスフィッシングの大事な一部だと思う。

またこのバスが、元気な姿で誰かのロッドを曲げてくれますように。

DUEL2026年新製品説明会

先日、DUEL(デュエル)さんの2026年新製品説明会に参加させていただきました。

会場には全国から関係者が集まり、来季に向けた本気度の高さが空気感からも伝わってくる、非常に濃い時間でした。

今回とくに注目したのが、H.D. CARBON EX BASS。

「タフさを追求」というコンセプトが明確で、単なるモデルチェンジではなく、現場で本当に必要とされる性能にフォーカスして作り込まれているのが印象的でした。

実際に8lbを手に取ってみると、第一印象は“張りがあるのに硬すぎない”。

フロロ特有の操作感は残しつつも、結びの安定感、そして安心感のある強度設計。

カタログスペックだけでなく、「使い手がどう感じるか」をかなり意識しているラインだと感じました。

説明の中でも印象に残ったのが、

“ラインは魚との唯一の接点”

という言葉。

これはまさにその通りで、どれだけルアーやロッドが進化しても、ラインが信頼できなければ意味がありません。

特にトーナメントやプレッシャーのかかったフィールドでは、最後に信じられるのはラインです。

説明会後は懇親会へ。

会場を出ると、御堂筋のイルミネーションがとても綺麗で、昼間とはまったく違う表情を見せていました。

開発の方々、関係者の皆さんと食事をしながら、製品に込めた想いや、まだ表に出ていない裏話まで聞けたのは、非常に貴重な時間でした。

こういう場に来るたびに思うのは、

良い製品は、良い現場と良い会話から生まれる

ということ。

釣り人のリアルな声と、開発者の情熱がしっかり噛み合っているからこそ、DUELの製品は長く使われ続けるんだと思います。

2026年、フィールドでこのラインを使う日が今から楽しみです。

また実釣で感じたことは、改めて詳しく書いていこうと思います。

水抜いてバス、オランダ

久しぶりに立ち寄った野池。

現場に着いてすぐ、いつもと違う空気を感じた。

水位が明らかに低い。いや、低いというより水が抜かれている。

普段は水の中に隠れているブレイクや岸際の変化が、はっきりと姿を現していた。

バスが着きそうなライン、季節によって差すであろうポジション。

水がある時には見えなかった池の“本当の形”がそこにはあった。

釣り人としては、地形を把握できる貴重なタイミングでもある。

だが同時に、素直に前向きな気持ちにはなれなかった。

水が抜かれる理由はいくつも考えられる。

護岸や水路の管理、環境整備など、人の都合によるものがほとんどだ。

それ自体を否定するつもりはない。

ただ、その影響を一番受けるのは、そこで生きている魚たちだ。

ブラックバスは外来魚だという意見もある。

それは事実として受け止めなければならない。

それでも、命であることに変わりはない。

水のない池を見下ろしながら、ここで何本ものバスを手にしてきた記憶がよみがえった。

季節ごとの一投一投、試行錯誤した時間。

その全てが、この池の中にあった。

釣りをするという行為は、自然と関わることだ。

だからこそ、フィールドの変化には敏感でいたい。

ただ釣果を追うだけでなく、環境を感じ、考える釣り人でありたいと思う。

水が戻った時、この池はまた息を吹き返すのか。

それとも姿を変えてしまうのか。

答えはまだ分からない。

今日見たこの景色を、忘れずにいたい。

魚を大事にするという気持ちを、改めて胸に刻んだ一日だった。

バスを守るために

フック外しは「上手い人に任せる勇気」も大事。

バス釣りをしていると、どうしても避けられない瞬間があります。

それは、針が深く刺さってしまった時。

特に、目の周りやエラの奥に貫通してしまった時は、本当に胸が苦しくなる。

僕はどの魚にも「絶対に元気に帰ってほしい」という気持ちで向き合っているので、そういう場面を見かけると心がざわつくし、正直なところ、ものすごく“ん〜〜”って思う。

でも、そこで一番大切なのは 焦らないこと と 正しい対処 です。

まず、目に近い部分やエラに刺さってしまったとき。

これは、無理に引っ張って抜こうとすると、魚のダメージが一気に大きくなります。

そんな時こそ、バーブ(カエシ)を潰すか、ニッパーで針をカットしてから外すのがベスト。

バーブさえ無ければ、針はスッと抜ける。

少しでも傷を小さく、負担を少なくして返してあげることができるんです。

もし、針を飲み込んでしまって外せない場合。

これは、本当に無理しないでほしい。

手探りでゴソゴソやると、喉やエラの膜を傷つけて、魚に取り返しのつかないダメージを与えてしまいます。

そんな時は、遠慮せずに誰か上手な人に頼んでほしい。

釣り堀でも、野池でも、湖でも同じ。

近くに自信のある人がいれば、その人に任せる勇気を持ってほしい。

僕が近くにいるなら、絶対に言ってください。

どんな状況でも、できる限り魚を助けるために僕が外します。

バス釣りは、技術だけじゃなくて“優しさの技術”も必要です。

誰でも最初は失敗するし、戸惑うし、怖いと思うこともある。

だけど、魚に無駄な苦しみを与えたくないと思う気持ちがあれば、そこから確実に成長できる。

僕が日頃から気をつけているのはこんなことです:

フックは基本バーブレス、または軽く潰しておく 深く刺さったときは、ニッパーでスパッとカットして負担軽減 飲まれたときは絶対に無理をしない ライブウェルでは水温・酸素・水質を細かく管理 写真撮影は最短で、魚体を押しつぶさない持ち方を徹底

魚は喋れません。

痛いとか、苦しいとか、言えない。

だから釣り人が代わりに気づいてあげるしかないんです。

僕がここまで言うのは、ただ単純に、

ブラックバスが本当に好きだから。

好きだから、ダメージを最小限にしてあげたい。

好きだから、丁寧に扱ってほしい。

もしこの記事を読んでくれた人が、次の1尾をいつもより丁寧に扱ってくれたなら…

それだけでフィールドは確実に良い方向へ進むと思っています。

ブラックバスを死なせたくない。

ただただ、バスが好きだから。

釣り人として、そしてバスプロとして、ずっと心の中にある想いがあります。

それは 「ブラックバスを死なせたくない」 という、ただそれだけのこと。だけど、僕にとっては本当に大事なことです。

どんなに寒い冬でも、どんなに暑い真夏でも、湖に出るたびに思います。

今日出会う魚たちを、少しでも元気なまま湖に帰してあげたい。あの引きの強さも、あの美しい体色も、全部が“命そのもの”で、かけがえのない存在です。

正直、時々います。

魚の扱いがちょっと荒い人。

無造作にデッキに置いたり、写真を撮るときに必要以上に握りしめたり、ライブウェルのケアを軽く見ていたり。

そういう場面を見てしまうと、胸の奥が「ん〜〜〜…」ってなる。

言葉にはしないけど、心の中ではめちゃくちゃ思ってます。

“もっと丁寧にしてあげてくれよ…”って。

でも、それって怒りじゃなくて、ただバスが好きだからこそ湧いてくる感情なんです。

1尾目でも、1000尾目でも、釣り上げた瞬間の鼓動は変わらない。

バスは僕ら釣り人に夢を見せてくれる、特別な存在なんです。

だから、僕はできる限りのことをする。

・フックが深く刺さったら、慌てず落ち着いて外す。

・長時間空気に触れさせない。

・ライブウェルの水質や温度を常にチェックする。

・魚の負担を減らすための活性剤を使う。

・トーナメントでは特に、1尾の状態を常に見続ける。

こういう積み重ねが、魚の未来につながっていくと思っています。

最近は、SNSでも「魚の扱い方が優しいですね」と言われることが増えました。

でも、僕としては当たり前のことをしているだけなんです。

生き物を相手にしている以上、“丁寧に扱う”ことは釣りの技術と同じくらい大切なスキル。

それを当たり前にできる釣り人が、もっともっと増えてほしい。

釣りって本来、自然との対話だと思っています。

魚がいてくれるからこそ成立する遊び。

バスが元気でいてくれるからこそ、僕らは最高の一投を楽しめる。

だからこそ、釣り人一人ひとりが、魚の未来を守る小さな責任を持てたら、フィールドはもっと良くなる。

そしてその積み重ねが、次の世代の釣り人たちにもつながっていく。

僕はこれからも変わらない。

バスを大事にする。

優しく扱う。

そして、誰よりもバスを好きであり続ける。

もしこの記事を読んで少しでも共感してくれたなら、今日釣った一尾を、いつもよりそっと優しく湖へ返してあげてください。

それだけで、未来はきっと変わるから。

河北潟

今日は河北潟に到着してタックルを準備し、気持ちを整えていざ1投目。

冬の澄んだ水に陽が差し込み、雰囲気は抜群。

「これは何か起こるかもしれん」と思いながら入れたその瞬間でした。

ロッドに“ゴン”と明確な生命感。

間違いなく良い魚のバイト。

冬の河北潟で、この手応えはなかなか出会えないレベルのスーパーバイト。

反射的にアワセを入れたら…

まさかのラインブレイク。

魚に可哀想なことをしてしまったという気持ちと、せっかくのチャンスを逃したショックが一気に押し寄せてきました。

自分自身も悔しいですが、何より魚に申し訳ない…。

こういう瞬間って、釣り人として一番心にくるんですよね。

ただ、1投目であれだけの反応が出たということは、

状況は決して悪くないという証拠。

魚は確実に動いているし、狙っているレンジもルアーも合っている。

気持ちを切り替えて、ラインチェックやフックポイントを再確認しながら、同じミスを繰り返さないように集中し直す。

冬は1本の価値が本当に重いだけに、次のチャンスこそ確実に獲りたいところです。

河北潟、今日も簡単ではないけど面白い。

次の1匹に向けて、また丁寧に積み重ねていきます。